ぴっくり通りを元気にしたい!2代目店主が商店街にかける思い

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「家に帰る前に立ち寄ったら、要るものが全てそろう商店街、そんな姿を取り戻せたら……」と語るのは、ぴっくり通り商店街の婦人服店「アン・シーズ」の2代目代表・東本昌也さん。幼い頃から思い出のある通りを舞台に、若手店主として奮闘しながら、エリア再興の手がかりを模索しています。

〈店舗情報〉
アン・シーズ
奈良県生駒市元町1-8-2
☎︎ 0743-73-6030
営業時間
10:00 – 19:00

Instagram:@un_sees.ikoma


2025年2月10日時点の情報です

お店を構えるのは、幼少期の思い出が残る商店街

ぴっくり通りにアン・シーズが移転オープンしたのは2002年のこと。ここは、かつて東本さんの祖父が「もも屋」というお店を営んでいた土地でした。もも屋はもともと実用衣料を中心に取り扱っていましたが、お客さんの要望に応えて品揃えを拡大。物資不足の戦後において、住民の暮らしを支える存在となったのです。

「1972ぴっくり通り1」生駒市、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示 4.0 国際(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja)

「洋服の家系なんですよ」と東本さん。両親も洋服販売会社を設立し、奈良市や東大阪市に店舗を展開してきましたが、ゆかりがある現在の地に根を張ることに。そして令和6年、事業を承継しました。

東本さんは幼い頃、忙しい両親に代わって祖母に面倒を見てもらうことが多かったそう。もも屋だけでなく、まるで庭のように連れ歩いてもらった商店街は幼少期の記憶が残るまちだといい「ゲームセンターや駄菓子屋があり、あらゆるお店が密集していました」と懐かしそうな表情を浮かべます。

自ら入り込むことで、商店街の魅力を再発見した

一方、現在の生駒駅前商店街に視線を移すと、全国の多くの商店街と同様、空き店舗が目立ちます。「それぞれのお店に事情はありますが、やっぱり寂しく感じますよね。商売の形も時代とともに変わっていきます。しかし、この商店街は賑わいの芽があると感じています。自分がそうであったように、ここで育つ新しい人たちにとっても思い出が残るまちにしたい」と思いを語ります。

東本さんが日々心がけているのは、自ら積極的に商店街を活用すること。「近所で手に入るものは知り合いのお店で買う、という行動を実践することで、あらためて商店街の面白さを発見しています。駅周辺では若い人が増えてきたと感じることも多く、ポテンシャルは十分にある」と見ています。

またお店同士のつながりも商店街の魅力のひとつ。昨年は店主団体の理事長も務め、交流はさらに広がりました。「もしかするとこのまちでお商売を始めるのは、ハードルが高いと感じるかもしれません。僕も2代目ではありますが、初めは少し恐縮していました。しかし実際は、若手の話にも耳を傾けてくださる方ばかり。今後、自分と同世代や年下の人が増えたら、橋渡しのような役割もできるはず」と意気込んでいます。

お客さんと真摯に向き合いながら、未来も見据える

店舗では婦人服を中心に、ファッション雑貨も販売。肌着は男性用も取り扱っています。お客さんのリクエストを聞いて品ぞろえを充実させたり、着こなしを提案したり……という人の話を尊重し、柔軟に対応する考え方には、もも屋から受け継いだ魂が宿っているのかもしれません。

店頭では東本さんのお母さんも接客を行います

「ファンになってくれるお客さんが大事ですから。例えばお向かいの八百屋さんは、幅広いお客さんに親しまれています。身近にお手本がいてくださるのもありがたいです」。東本さんも接客に売り場の整理にと、1階と2階を忙しく上り下りしています。

最近は、各地の商店街活性化の事例も研究しています。「生駒は昔から、イベントやお祭りがあるとたくさんの人が参加するまち。アン・シーズとしては2代目ですが、先輩たちに教えてもらいながら、次の世代につながっていくようなことをしていきたい」と力強く語っていました。

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