ぴっくり通りを元気にしたい!2代目店主が商店街にかける思い

地域の情報
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駅前から向かってぴっくり通りを抜けると、見えてくる。レトロな雰囲気ただよう木造アーケードこそ、旧生駒町公設市場です。
このエリアには知る人ぞ知るお店があります。それが堀内栄養食研究社です。
「ともつゆ花」と書かれた紫色ののぼりが掲げられたこの場所が、うどんだし屋さんであることをご存じでしたか?
堀内栄養食研究社の堀内秀起さんから、おだしへのこだわりや公設市場の歴史について話を伺いました。
〈店舗情報〉 堀内栄養食研究社 奈良県生駒市本町5−16 ☎︎ 0743-73-2712 営業時間 9:00-18:00 定休日:土・日・祝 2025年2月10日時点の情報です |
この場所にお店を出し始めたのが、先代である堀内さんのお父様。昭和30年代にパンスープを開発して、公設市場で販売するようになりました。しかし、ハイカラで西洋的な味のパンスープは一般家庭に受け入れられるのに時間がかかったのだそう。やっと時代が西洋風のスープを受け入れ始めると、大手メーカーがこぞってパンスープという商品を手掛けるようになりました。結果、競合が増え堀内栄養食研究社の売り上げも芳しく無くなります。そこで、思い切って事業を転換。世間でも少しずつ認められ始めた「うどんスープ」を手掛けることにされたそうです。
この選択が多くの人に支持され、特級うどんスープの販売からはじまり、「友にも孫にも広まってほしい」という思いを込めて名付けたともつゆスープの登場。そして商標登録をしている純つゆ花が生まれました。
純つゆ花という名前の「純」は品質の良さ、純粋で混ざりものが入っていないという意味。花には花かつおの意が込められています。
ラーメンやカレーといったスパイスや鶏ガラなど複雑な味わいを楽しむスープと異なり、うどんスープはかつおと醤油というシンプルな味わいでの勝負です。そこに、堀内栄養食研究社のこだわりが込められています。
おだしに欠かせないかつお。純つゆ花には、こだわりの詰まった2年物の枯本節が使われています。
本節とは、かつお節が様々な種類のカビをつけて水分を吸った状態のこと。純つゆ花の開発にあたって、2年物や3年物などたくさんのサンプルを試したり組み合わせたりして理想の味を追求しました。材料のわずかな違いで味が変化するため、今でもメーカーと意見を交換しながら本節の品質を落とさないよう尽力されています。
物価上昇の昨今、使う原材料の品質を保ち続けることは簡単なことではありませんが堀内さんは「利益よりお客様の喜びが宝物だし、信用とコミュニケーションを大切にしている。」と語ります。歴史や品質、手軽さはもちろん、美味しさへのこだわりが1つ1つのパックに詰まっている、と感じました。
原材料名を見ると、かつお節や花かつおなど中心的な材料の他には食塩や醤油が使われているだけ。添加物は使われていません。
そして添加物を使っていない分、かつお節や昆布は溶けずに沈殿していくもの。堀内さんは「それが量販店で販売してるすぐに溶ける出汁に比べると、デメリットだと思っていた」と回顧されます。しかし、ある日お客さんから「沈殿したかつお節や昆布はふりかけにして最後まで食べている」と聞いた堀内さんは驚きました。このように、商品の新たな楽しみ方をお客さんから聞いてハッとすることも多くあるそうです。
というわけで、私は今回のエピソードをうかがって、どうしても舌が「うどん」になってしまいまして・・。
取材の後、純つゆ花・黄金の宝・にほんだしの素を買って帰りました。
家に帰ってまずは純つゆ花と黄金の宝を使用してうどんを食べ比べてみました。
うどんスープになる前を並べてみるとこんな感じ。
醤油の使用量が控えめという黄金の宝。まずは一口うどんスープを飲んでみると、まろやかさの中にかつおの味わいをしっかりと感じられました。
鰹節小片など、スープを飲み干した後もふわふわなかつお等、食べ応えがあります。これは確かにふりかけにしても楽しみたい。
純つゆ花は、商品名にあるように花かつおが多く入っているのが特徴的。澄んだ色合いがとても美しいおだしです。かつおと昆布が甘みを生み出して、うどんを楽しませてくれます。まさに麺を食べる箸が止まらなくなるほど。
どちらのうどんも美味しくいただきました。特に私は花かつおたっぷりの純つゆ花が好みでした。
取材時、堀内さんの「お客様の十人十色な考えを大切にして好きな商品を選んでもらっている。高いからいいものという考えではなく、ぜひ好みで選んでほしい」というお話が印象的でした。
にほんだしの素は炊き込みご飯にしてみました。
堀内栄養食研究社のおだしはすでに食塩や砂糖によって味が美味しく調整されているから、家庭では好きな具材と一緒に炊き込むだけ。調味料を足さなくても、おだしの量の違いで濃い味にも控えめな味にも変化させることができました。
ご飯を炊き終わった後、家の中広がるのはおだしのいい香り。さらに、ごはん一粒一粒ににほんだしの味わいが染みわたって美味しいです。
高野豆腐を炊くのもおすすめしていただいたので、次はお野菜や高野豆腐の炊き合わせを作ることにしました。
うどんつゆを始めおだしのラインナップが豊富な堀内栄養食研究社。他にも中華ラーメンスープやコンソメスープなども取り扱っています。長年培ってきた美味しいという技術を家庭で有効利用してもらおうと、日本食にとどまらず幅広い味わいを届けてくれるんですね。
堀内さんが願うのは、日々家庭で料理をする方々の「今晩は何を作ろう」という悩みを解決すること。でもこんなに美味しいうどんスープがあると、「いろいろ作ってみたくなる」という嬉しい悩みも生まれそうだな、思いながら今回のレポートを締めさせていただきます。
〈店舗情報〉 堀内栄養食研究社 奈良県生駒市本町5−16 ☎︎ 0743-73-2712 営業時間 9:00-18:00 定休日:土・日・祝 2025年2月10日時点の情報です |
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